SSブログ

「越後獅子」パート稽古&下浚い [<三味線稽古>]

家ではちゃんと弾けていても、いざ譜面というお守りなしでみんなと弾くと
手が落ちることを発見。
合わせ稽古では、唄方とはまりを確認しながら練習し
最後に譜面無しで弾いて録音してみた。
そしたら、ところどころ手が落ちるし、
晒しの合方の2段では3段の後半を危うく弾きそうになったりして焦る。

下浚いでは思いもかけないところで手を忘れたり、掛け声に失敗したりした。
お囃子が入ると緊張も高まり集中力が散るのだ。

この曲は随所に落とし穴がある。
ほぼ同じだけどちょっとだけ違うというようなフレーズが満載。

落とし穴1
まず、出だしから「浮き世をわたる〜」の前まで
トンチンチリンツツン
ドンチンチリンツツンツンの組み合わせ、回数が紛らわしい

落とし穴2 
浮き世を渡る〜 ▲速くなりがち
飯も炊いたり〜とが一部節同じ


落とし穴3 節つけがほぼ同じで拍数が違うというフレーズ
ひとり笑し
辛句甚句もおけさぶし
(あにじゃないもの もテチチテツンのみ同じぼーっとしていると間違える)
ひいてうとおや

落とし穴4音程違いでリズムパターンが全く同じ。
かりのたよりの前のツツツチチリチツスチツンテントン ケシ ツツツンツンツンと
縁を結べばの前の ヅトツテチリテツステツントンドン チン* チチチンチンチンチンチンチンチン(*流派によっては消し)

落とし穴5
晒しの合い方
見渡せばーひとのやま の次の出だし
うちよするー面白や  の次の出だし

その前が全く同じ節つきなので「ひとのやま」の次に三段目の出だしを弾いてしまう可能性大。


たて三味線は笛と合うところ、お囃子と合うところ、唄とのハマり具合を意識して
かつ休符、音符を短くならないよう弾き、脇三味線が間違えてもそれに気を取られず、
囃子の掛け声がちょっと間が変でもそれに合わせる、など360度方面に気を配りながらすすめなくてはならない。

言ってみれば地雷がある戦地で前方の敵、左右の敵から弾が飛んできてもよけながら前進するみたいな感じだ。
被弾を避けようとそちらに注意すれば、地雷を踏み、
地雷を避けることだけに夢中になっていると、味方を置いてけぼりにしてしまうことになる。

プラス指導してくださる先生はよりよくしようといろいろアドバイスをくださる。
しかし残念ながら、自分は曲の「情緒」にまで気を配る余裕がない。
そこに注意して地雷を踏み、また速くなりみんなに迷惑かけるぐらいなら、
「情緒」はないが、無事味方を安全に導くことを考えよう。

プロの流儀を垣間見させていただくことに感謝しながらも、
今の時点でのベストパフォーマンスにするために
あえて捨象することも必要だ。

本番までのお稽古が勉強なのであって、
本番でできなくてもいい。
知ることができればいつかできる日がくる。


素人長唄バンドだといろんな流派が寄り集まるので
そのときにそれぞれの人のお師匠さんの教え方、方針のようなものが見えてくる。
うちの先生はとても慎重で今回も、替え手は本手が完璧にできないかぎりはやめなさい、と言って
いっさい教えなかった。
そして、素人の集まりなのだから欲張らず、最低限度のことをきちんとしなさいと。
私の実力というものをよく知っていらっしゃるし、
舞台での失敗が心の傷となり、三味線自体をやめてしまう人もいるといって慎重に慎重に進めてくださった。
(今回も、前回の合わせ稽古の録音を聴いていただいたら、全ては本番までの準備期間が短いことに
原因があると一言、びしっと。)

そうかと思えば替え手を一応教えておこうと考える先生もいたりもする。
舞台で失敗しても、素人なのだから失敗は当然で、失敗を覚悟でチャレンジするのも勉強という考え方もある。

どちらの考えにもメリットがあり、どっちが正しく、どっちが間違っているということではない。

自分はどちらを選ぶのか?ということですべては自分次第だ。
私の場合指揮者なので、私のミスが唄、お囃子全員に迷惑をかけることになるので
まずはそつなくまとめることを目指したい。
受験勉強と同じで、全部の問題を解こうとすると時間がないので
一番配点が高くて自分が正解しやすい問題に集中するのだ。

こうして考えると、分け口や上調子、替え手では素敵な音を聞かせている演奏者が
たて三味線になると、あれ?なんだか精彩に欠ける・・・という印象を抱くことがあるのも納得できる。


今回1月19日にお話をいただいてわずか2ヶ月足らず。
無謀といえば、無謀だけれども、すでにたくさんのことを学ばせていただいた。
なによりも糸や調子の管理をプロに頼ることなくしなくてはならないので
常に自立してやるという意識が芽生えたのはよかった。

それに今まで、脇はプロの方だったので
素人が脇三味線というのは初めての経験で、
そのとき、タテ三味線はどうあるべきかということを学んだ。
また、脇以降の三味線がどうあるべきかということも間接的に学べた。
このことはまた別の会で3枚目、4枚目を弾くときに役にたつ。

この曲はノリをつくるのが難しいということがわかっただけでも大収穫だ。
いかにしめ、いかにノッていくか。
メリハリというのも学習した。
当日はできないかもしれない。
だけど、それをわかったことが次のステップに活かせると思う。


お師匠さんが前日の練習までがお稽古で当日は楽しく弾くことといつもおっしゃっているのを思い出す。
前日ギリギリまで頑張って練習し、当日は楽しく弾こう。


合わせ稽古のあとも下浚いのあともアフターが楽しい。
みんなでワイワイいいながら、ご飯を食べたり、ワインを飲んだり。
下浚いではSさんがお誕生日だったのでバースデーケーキをお相伴にあずかった。

いろんなことが学べるだけでも幸せだけれど、
こうして長唄の好きな仲間と一緒に曲を仕上げる時間は何よりも楽しくプレシャス。
学生ロックバンドが文化祭にむけてワイワイいいながら練習するのに似ている。
長唄は趣味人口が少ないので、仲間に出会えただけでもありがたい。
素敵な時間をありがとう!
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。